産業医科大学
小児科学教室内
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この度は日本産婦人科・新生児血液学会のホームページにアクセスしていただきましてありがとうございます。本学会は今年で22回目を迎えましたが、実はその前に15年間研究会の時期がありましたので、実質37年の歴史を持っています(1976年相馬廣明会長のもと第1回研究会開催、1991年寺尾俊彦会長のもと第1回学会開催。「研究会から学会へ」および「学会の概説」を参照)。本学会は産婦人科医師と新生児科医師が共に血液学に関するテーマ、具体的には妊娠・分娩・産褥・胎児・新生児および婦人科領域で血液に関連する話題を研究・発表したり、各種事業を行っています。ホームページのトップにも明記されていますように、私が本学会の理念と位置付けていることは「出血と血栓−死亡ゼロを目指して−」です。
血栓症に関しては、1991年から2000年までと2001年から2005年までの2回産婦人科領域の静脈血栓塞栓症の全国調査を行い、日本人妊産婦の肺塞栓症および深部静脈血栓症の実態が初めて明らかになりました。この結果はわが国の静脈血栓塞栓症予防ガイドラインのエビデンスになっており、その一部はCirculation Journalに掲載されています。出血に関しては、「産科大量出血に対する遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤の使用調査」を継続中で、現在までに39例の投与が報告されており、搬送時すでに低酸素性脳症を呈していた1例と羊水塞栓症の2例を除く36例(92.3%)で救命されております。このうちの25症例を解析した論文がInternational Journal of Hematologyに掲載されています。また、新生児領域でも「新生児血栓症の全国調査」および「正期産新生児の特発性頭蓋内出血の調査」が行われております。
行政への働きかけでも、昨年から今年にかけて「プロテインS活性測定」、「抗リン脂質抗体症候群妊娠に対するヘパリンカルシウム投与」、「在宅ヘパリン自己注射」が保険償還されることになりました。その他にも他学会と協力して厚生労働省に要望中です。
今後は役員の一新が行われ、様々な業務を理事・幹事で分担することになり、ホームページの充実、学会誌投稿規定の改訂、診療指針の作成をはじめ喫緊の課題が山積しております。学会員が高齢化していますので、是非若手の学会員が増えるような魅力ある学会創りを目指し、このユニークな特徴を持つ本学会が益々発展するように、役員をはじめみなさんのご協力を仰ぎたいと期待しております。