日本産婦人科・新生児血液学会 事務局

産業医科大学
小児科学教室内

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理事長挨拶

日本産婦人科・新生児血液学 理事長

日本産婦人科・新生児血液学会 理事長挨拶

日本産婦人科・新生児血液学会 第10代目の理事長を拝命しました安達知子と申します。本学会は15年間の研究会と合わせて43年の歴史を持つ周産期、小児科、婦人科にまたがる血液学を中心とした専門の学会です。本学会の優秀演題賞の冠となります秋田大学の真木 正博先生をはじめとする本学会の創設者の時代から、その当時幹事として本学会を支えた世代へ理事長も移って参りました。私共は第二世代に当たります。

産科大出血は、当時も今も母体死亡の主要原因です。中でも特殊な病態と急速に進行して治療開始のスピードが生死を分ける産科DICは、本学会の先達が作られたスコアをもって今でも治療が開始されています。しかし、種々の病態の解明、検査法や治療法の進歩などから、見直しの時期が来ております。2018年 第28回の宮崎大学 鮫島 浩先生の学術集会では、「DICを考える」をテーマに、「産科DICスコア」を再考するシンポジウムが行われましたが、私の仕事としてまずは、今の臨床現場に即した産科DICスコアの作成に注力したいと思います。

本学会からは、産科および女性ホルモン剤と静脈血栓塞栓症の日本の調査やその対策、新生児DICスコア診断基準についての調査など、数々の貴重なデータ作りや提言がなされております。また、本学会編集の「産婦人科・新生児領域の血液疾患 診療の手引き」によって、ガイドラインでは得られない、広くかつ専門的な知識と解説で日常臨床に役立つ情報を臨床医へ向けて発信しています。

血栓塞栓症の分野では、近年遺伝子診断の発達と共に注目を集める先天性トロンボフィリアに興味深いものがあります。妊産婦や新生児に致命的な血栓塞栓症を発症させる可能性のあるリスク因子ですが、まだ妊産婦に対する血栓症発症予防の治療指針は確立されておりません。女性の健康は、子供たちの健康に多大な影響を与えることなどから、これらについても注力していきたいと思います。

初めての女性の理事長であり、周囲からの期待も不安も大きいことが伺われます。この3年間にいろいろな評価がなされると思いますが、学術団体の1つとして、血液学を切り口として、若手医師に魅力的で、かつ多くの診療科を巻き込んだ学術的に質の高い学際的な学会となりますよう、尽力していきたいと存じます。2019年第44回は名古屋市立大学の杉浦 眞弓教授が集会長をされます。後から続く女性のリーダーたちのためにも女性理事長として力いっぱい責任を果たす所存です。よろしくお願いいたします。