産業医科大学
小児科学教室内
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北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1
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日本産婦人科・新生児血液学会 第11代目の理事長を拝命しました大賀正一と申します。COVID-19禍が続き学会活動も厳しい状況が続いておりますが、進化する血液学が新時代の母児のために役立つよう全力を尽くしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本学会は1976年(昭和51年)に始まった産婦人科血液研究会が、1987年(昭和62年)の第12回から産婦人科・新生児血液研究会へと拡大され、1991年(平成3年)に日本産婦人科・新生児血液学会として設立されたものです。周産期に関わる臨床医と研究医が血液学を基盤として活動している45年以上の歴史を持つ専門学会です。
出血と血栓は妊産婦と新生児がまず乗り越えるべき課題であります。病態の把握が難しく病勢も進行が最も早い妊産婦と新生児・早期産児のDICに対して、本学会はこれまで会員の先生方のご尽力によって産科領域と新生児領域のDICスコアを作成し、現場に即した改訂を進めてまいりました。新生児ビタミンK欠乏症や血友病母児の治療管理にも大きく貢献してきました。
血栓塞栓領域では血栓性素因の理解が近年進み、妊産婦の管理に関する診療ガイドが本年作成されてその成果が国内外に発表されました。現在新生児に関しても進んでいます。
輸血など母児間の血液学的問題、再生・遺伝子治療をめざす臍帯血の臨床応用など、周産期血液学は医学としての深みと医療としての広がりが加速しています。がんと難病に対するゲノム医療も実装された現在、周産期の母児の管理が世界最高水準に達した少子高齢化の進む日本において、母と子のための個別化医療をこれからどのように発展させるかは国民の課題です。
本学会では専門性が高くエビデンスの集積が難しい領域で、「産婦人科・新生児領域の血液疾患 診療の手引き」など臨床医の診療の拠りどころとなる情報を発信してまいりました。母と子のために、医学専門領域の進化と統合の成果を現場にお届けできるよう学会活動を進めたいと考えております。皆様のご支援とご指導を何卒よろしくお願い申し上げます。