日本産婦人科・新生児血液学会 事務局

産業医科大学
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行政への働きかけ

新生児と乳児のビタミンK欠乏性出血症発症予防に関する提言

活性化プロテインC製剤 塩崎大臣への要望書

在宅ヘパリン自己注射が平成24年1月1日から保険適用されました。

「解説」(小林隆夫 理事)
血栓症の既往をはじめ血栓性素因など血栓症リスクを持つ妊婦は、妊娠そのものが血栓症のリスクとなり、妊娠中も長期にわたり抗凝固療法を必要とする場合があります。しかし、抗凝固療法に用いられてるワルファリンは、胎盤を通過して胎児形態異常や胎児の出血傾向を引き起こすことがあるため、妊娠期間は原則禁忌となり使用は推奨できません。このような症例にヘパリン注射を行うことで妊娠予後改善が期待できますが、欧米では在宅ヘパリン自己注射が一般的な治療となっています。わが国では保険適用されていなかったため、患者さんが毎日朝夕2回ヘパリン注射のため通院することは、精神的・身体的・時間的・経済的に大きな負担となっていました。しかし、この度在宅ヘパリン自己注射が平成24年1月1日から保険適用されたことによってこれらの負担が軽減されることになります。このことは患者さんにとっては非常に大きな朗報ですが、ヘパリン自己注射の正しい知識や使用方法さらには副作用などに関して十分に教育指導することがわれわれ医療従事者に課せられた責務でもあります。
在宅自己注射指導管理料として820点が算定できます。対象患者としては、①血栓性素因(先天性アンチトロンビン欠乏症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、抗リン脂質抗体症候群など)を有する患者、②深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症既往のある患者、③巨大血管腫、川崎病や心臓人工弁置換術後などの患者です。適応を遵守し、正しい使用方法を指導していただくことを切に望みます。

「ヘパリン在宅自己注射療法の適応と指針」を掲載します。

プロテインS活性測定が保険償還されることになりました。

「解説」(小林隆夫 理事)  
プロテインS活性測定は、基本的には血栓症の診断目的で行います。抗原も活性も正常、抗原も活性も低下(Type I欠乏症)、抗原は正常なるも活性のみが低下(Type II欠乏症)に対し、いままでは抗原しか保険適用がなかったので、まず抗原を測定していました。しかし、これではType II欠乏症が見逃されてしまいます。したがって、国際的にはまず活性を測定することが推奨されています。活性を先に測定すればType I欠乏症かType II欠乏症かは判別できませんが、活性の異常がスクリーニングできるからです。抗原の測定はその次です。いままでの日本ではこれが保険診療としてできませんでしたが、今後は可能になったわけです。
病名は「血栓症(DVT/PTE)、もしくは血栓症の疑い」ないしは「Protein S欠乏症、もしくはProtein S欠乏症の疑い」でお願い致します。

平成23年9月26日付けで、ヘパリンカルシウムが抗リン脂質抗体症候群妊娠に保険償還されることになりました。

日本産科婦人科学会(吉村 泰典 理事長)と日本産婦人科・新生児血液学会(池ノ上 克 理事長)の連名で、長妻 昭 厚生労働大臣(当時)に下記の要望を申請しました。

(1)
抗サイトメガロウイルス免疫グロブリン製剤(サイトガム/CSLベーリング株式会社)の先天性及び周産期サイトメガロウイル ス感染への適応
(2)
エノキサヘパリンナトリウムの抗リン脂質抗体症候群合併症妊娠への適応
(3)
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の産科危機的出血の抑制への適応
(4)
乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤(アンスロビンP/CSLベーリング株式会社)の妊娠高血圧症候群 (Gestation Index 6点以上)合併妊娠への適応

(5)
その他、本会の目的を達成するため必要とされる事業